将軍の憂鬱の種

車の免許をもって20年あまり 当初は我が家に車があったものの
運転する機会も余りなく 
返って電車で移動する方が早く着く事もあり
車が無い生活もここではなんの不自由も無い
古くなったのを機会に売って結婚してダーの車が来るまで我が家では
「免許証」は単なる身分証明書がわりだった

ところが2年の間に娘は成長した
仙台で原付バイクに乗れるようになった 
と言っても交通量の少ない道だけだが
仙台でバイクに乗っているとは話せなかった。
将軍もまさか私が乗ってるなんて想像もしなかっただろう

話すと将軍の頭の中で
「ぺー!バイク事故死す 正面衝突即死」
の文字が日に日に大きくなり
それは将軍を心配させるだけだと判っていたからだ

引越してきてバイクを見て言った
「誰が乗るの?」「私」
 固まる・・・・固まっている  一瞬 動きが止まり
 その日はまるで聞かなかったようにその話はそこで終わった
「フーーン」と冷静に答えたものの
理解するまでに自分の中で葛藤があったのだろう

次の日また聞いた
「誰が乗るって?」「私」
 固まる また固まってしまった
「止めなさいよ 事故でも起こしたらどうするの」
心配するのはごもっとも 
バイクに乗ってる子供を持つ親なら誰でもそう思うだろう
けど心配だけで何もしないもの成長しない

この歳になって特攻服を着て鉢巻して
エンジン蒸かしすぎの♪パフーパフー♪つきのバイクには乗れないだろう

危なくない時間帯 長距離は乗らない スピードも出さない
自分なりに気をつけて乗っているつもりだ
それで事故が起きた場合はしょうがない

その日は母のお墓参りに行くと決めていた 初めての遠出だ
といっても20分の距離
前日から行く事は話していたので
「バイクで行くのは止めてよ」と先手を打たれてしまった
「いや バイクで行くよ」 そんな事で負けていないのも将軍の娘だ
 固まる また固まってしまった
1時間後「タクシー代出すから バイクで行くのは止めてくれ」
「バイクで行くよ スピードも気をつけてるから大丈夫だよ」
「ああ・・・・・・ もう何があっても知らないから・・・イジイジ」

40分後
帰宅すると駐車場でウロウロしている将軍がいる
なんだかげっそり疲れ果てていた


最近は駐車場で乗る準備をしていると
居間で座っている将軍が身を乗り出して眉間に皺を寄せて
こちらを見ている

そしてダーに
「あのねあのねバイク乗ってるんだよ 
ダー君認めたの?いいの?そんなんでいいの?
もっとガツンと言ったほうがいいんじゃないの?」

「乗れるようになったのはいい事ですよ〜
どんどん乗ったほうがいいんですよ」

固まる また固まってしまった
「ダー君が乗っている事知っていればいいんだけどさー 
でも危ないからやめたほうがいいよね ネッ
言ったら?そう言ったら?言ったほうがいいと思うけどなあ」


ダーは2年前の仙台生活の時から
知っていると言う事を将軍はいまだ気が付いていない